Voice over time

アーメド・アルコット

 相対性理論によると、私たちが光速に近いかそれに等しい速度で移動すると、時間は伸びたり遅くなったりします。

私のような外国語(非ヨーロッパ言語)で働く声優によると、ある言語から別の言語に声が移ると、時間は縮まり、スピードアップするそうです。 

歴史的な時代ごとに言語が出現し、同じコミュニティの人々の間のコミュニケーションチャネルとして機能しています。 文明の歴史の中でこの重要な役割を果たしていくうちに、言語は次第に人々の業績、革新、文学の主たる記録へと変化していきます。 ある特定の文明が何らかの分野で大きな進歩を遂げたとき、それは常に 言語から生み出される新しい言葉や文章の形に反映されています。 新しい発明や発見に象徴されるその進歩は、そのまま言語の発展に反映され、また違った成熟、洗練のレベルへとにアップグレードされていきます。

このような言語的・社会的相互作用の多くの例は、アラビア語の用語がアラビア語からラテン語や他の生まれたばかりのヨーロッパの言語に移った中世に現れました。

アルコール الكحول アルコール

代数学 الجبر Al jabr

アルゴリズム الخوارزم Al-Khwarazm

暗号 صفر セーファー

エリクサー الإكسير Al-Exir

アルセナル دار الصناعة ダルアルセナハ

アサシン الحشاشين アルハシン

ギター القيثارة Qithara

これらはすべて、化学、天文学、数学、音楽の分野で数世紀前のアラビア語圏の社会の先例を反映しています。

産業革命の時代から始まって、西欧文明は、他の文明に先駆けて新しい発明を導入し、人類の歴史の中で前例のない発見を成し遂げ、その結果、新しい言語学用語、構文、頭字語がヨーロッパの言語に登場し始めました。 アラビア語や他の東洋言語では対応するローカライゼーションや翻訳の努力は行われていませんが、アジアやアフリカの現地言語では、これらの用語や略語にあたるものを見つけて言葉をつくり、その国が人類の歴史のこの短い期間に達成された新しい技術的、芸術的、政治的な発展を追跡できるようにする努力が行われています。 産業革命後のヨーロッパの言語に登場した新しい用語、略語、頭字語の例は数え切れないほどあります。Television (vision through distance), Telephone (voice through distance), Automobile (self-tracked wagons), Aircraft (flying craft), AI (Artificial Intelligence), WMD (Weapons of Mass Destruction)などなど

ああ、あなたはこう思っていらっしゃるかもしれません、まあ 興味深い話ですが、それはボイスオーバーと何の関係があるのでしょうか?

アラビア語の声優としての私の作品の大部分は、ヨーロッパの起源(英語、ドイツ語、イタリア語...など)からアラビア語にローカライズされている翻訳された素材の録音であったことをご記憶かもしれません。 例えば、インフォグラフィックビデオ、ドキュメンタリー、アニメーション、またはxboxゲームに合わせて録音していて、オリジナルの原稿(ほとんどの場合、英語)とタイムシンクする必要がある場合、クライアントは狂ってしまいます。「なぜアラビア語の原稿は常に英語のものよりも長く出てくるのか?」「なぜアラビア語の音声録音にあんなに時間がかかるのか?」と。 フランス語とイタリア語で録音たことがありますが、どちらも何の問題もなく完璧にタイムシンクできました。

答えは、簡単に言うと 用語と略語です。

アラビア語は、性質上、現代ヨーロッパの言語と比較して、構成や派生の面で、より簡潔で短かめです。BBCジャーナリズム研究所によると、レポーターが程よい読書速度で読んで録音したりことができる単語数の平均は、アラビア語で120語/分、英語で180語/分だといいます。 確かに、同じ文章を読んで、アラビア語(または他のセム語)で正確な意味を伝えるには、ヨーロッパやドイツ語で話しているときに使う単語数の3分の2、またはそれ以下かもしれません。

よって、我々は英語からアラビア語にテキストの一部を翻訳/ローカライズするときに単語数を大幅に減らす必要があります。声優は、指定の時間内に彼のローカル言語で同じテキストを読むことができますが、英語(またはヨーロッパ)の原稿が翻訳されるとどうなるか、スクリプトがどんどん長くなり、元の二倍になることもあります。 単純に、ローカル/ターゲット言語では置き換えられる用語や略語が不足しているのに、原稿の中に出てくるからです。 例えば、頭字語のようなものは AIはアラビア語で2つの単語に翻訳されます:الذكاء الاصنطاعي Al Dhaka'u Lestena'y、一方で私たちが中東での新しいDettolの夏のキャンペーンをプロデュースしているときに遭遇した「the Dettol mother」のようなブランディング用語は、The mother who uses Dettol.という4つの単語のコピーに変わります。

記述的な翻訳の場合、それに合うべき時間を大きくオーバーしてしまうことは、いくつかのスクリプトで非常に頻繁に繰り返され、この時点で、我々は通常、我々はタイムシンク録音の際直面する悪夢、時間のパラドックスを経験します。

この問題に遭遇したとき、私たちは通常、解決するため主に3つの方法があります。

原稿。原稿を短くしたり、言い換えたりする(時に問題の根本は翻訳の悪さにあります)

ビデオ。ビデオやアニメーションを編集し、より長く音声が入るようにするためにシーンを延長する。ただしこれは通常は利用できないか、またはコスト面で効率的ではなく、特にクライアントにより制限されている場合は、限られた コストの範囲で仕上げなくてはなりません。

録音速度:原稿をより速いペースで(ほとんどが異常なペースで)読むか、録音されたものを編集し、必要な時間内に強制的に収まるようにします。

衝撃的な現実は、私たちのクライアントのほとんどが第三の要素である録音速度を編集することを好むということですが、彼らからすれば、原稿がエンドクライアントによって承認されており、変更可能でない限り、これは最もコスト効率の良いソリューションです。

一方で、ビデオ編集オプションは、先に言及したように 特にコストの面で、制限があるため、最も効率的でないオプションであることに変わりはありません。

そして最後に、正確な言語的な言い回し、そして録音素材の時間に対する単語数の比率を考慮に入れて、脚本家が良い翻訳をすることが、制作の品質と最終的なコストの面で最も効率的な方法です。これは通常、テレビやラジオのスポットを制作する際に、最も著名な世界のブランドが考える解決策です。ローカライズされたコピーを放送時間内に読み上げ、メッセージを維持しつつ、元の言語と同じ明快さとスタイルで、手を加えず提供することができればと、いうことなのです。

著者

アーメド・アルコット

アラビア語の声の専門家、演技とキャスティングのディレクター、THE ARABIC VOICE、Inc.の創設者兼ストラテジスト、ArabicIVR.comおよびEl Hakawaaty教育ハブ、

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